2016年10月25日火曜日

カギと針金とトング


皆さま、こんにちは。私たち「三原防水ドット工務」「リノベホームズ」のある埼玉県草加市は朝からヒンヤリしています。日中もあまり気温が上がらず、オフィスでもカーディガンを羽織っています。

当ブログで草加とその周辺のスポットをご紹介しているスタッフN.ですが、今回はちょっと違ったお話をさせて頂きます。
あれは、数年前の夏、シトシトと雨の降る日でした。私は、用事があって草加駅方面へ自転車で向かっていました。途中、ハガキを出すために郵便局に停まった時、うっかり自転車のカギを道路脇の側溝に落としてしまいました。側溝には、コンクリートのフタがされています。隙間はわずかしかありません。キーホルダーに付けているLEDライトで中を照らすと、深さ30cmほどでしょうか、カギが見えます。どうにかキーリングの部分に何かを引っ掛ければ取れそうな状態です。しかし、隙間から手は入りませんし、カギを吊り上げられるような枝や棒も見当たりません。あいにく、コンクリートのフタは重くて持ち上がりません。雨は降り続いているしどうしよう、と成す術もなく側溝の穴を覗き込んでいると、ひとりの年配の女性が声をかけてきました。
「何か落としちゃったの?」
「ええ、自転車のカギを…」
「あらぁ、それは困ったねぇ」
そう言って、女性は足早に去っていきました。私はまた側溝の穴に視線を落としました。郵便局で何か棒のようなものを借りれないかな、と思いましたが、ただの棒では取るのは難しそうです。釣り針のように引っかかる形をしていないと、キーリングに引っ掛からないからです。と、そこに、郵便局の向かいの商店から眼鏡をかけた男性が出てきました。
「中に何か落としたのですか? これ、使えませんか?」
そう言って、長い針金を手渡してくれました。3mmくらいの太さのある針金です。これなら、先を折り返せば引っ掛けて取り出すことができるはずです。
「あ、ありがとうございます! 多分、大丈夫です! ありがとうございます!」
男性は店に戻っていきました。針金を受け取ると、先を少し曲げて、LEDライトで照らしながら慎重に側溝の隙間に針金を入れました。ゆっくりとカギに向かって針金を降ろしていき、視界の悪い中、カギ状に曲げた針金の先をキーリングの穴に入れ、ゆっくりと引き上げました。落とさないように、落とさないように…。出口で鍵が落ちないように、少し向きを変え、引き抜きました。うまく一回で取ることができたのです。私は、先程の男性がいた商店に行って、改めてお礼を言いました。そして、自転車に戻ろうとしたところ、先程の年配の女性がこちらに向かってきました。
「コレ、使ってみて!」
そう言うと、バーベキュー用のトングを渡してくれました。しかも、パッケージされている新品です。
「え、コレどうしたんですか?」
そう訊くと、
「そこの金物屋で買ってきたの。使えるかしら?」
「この針金でちょうど今、取れたところです」
「あら、良かったわ。じゃあ、コレはせっかくだから持ってって」
「いや、でも…」
女性は私の言葉も聞かず、急いでるからと言ってまた足早に去っていきました。私は、針金とトングと自転車のカギを手に、雨の降る中、しばらく立っていました。

草加に住む人たちの温かい心に触れた、素敵なハプニングでした。



(スタッフ N.)





工事のWebサイトはコチラ




不動産のWebサイトはコチラ


0 件のコメント:

コメントを投稿